2010年04月02日

S団地にて  S

「部屋のなかに荷物をはこびいれる前に、バルサンをたくこと」

団地に住んだことがあるごうださんがそう言ったとき、わたしは少しぞわっとした。畳やふすまはリフォームしていても、建物自体はやっぱり古いんだ、と、この発言でまざまざと思い知った。

大阪市内のとある公団「S団地」にわたしとごうださんとつぎたさんはそれぞれ部屋を借りて、この春から住むこととなった。
昭和20年代に建てられているわけだから、そりゃあ、虫の1匹や10匹や100匹はいるに違いない。洗濯機を置く場所もなくて、台所はお湯も出ない。けれど、近くには大きな公園があって、駅も近いし、なにしろ、家賃がこのうえなく安い。

引っ越す前に、ずいぶんと悩んだけど、いもうとに「ねえ、おねえちゃんの悩みなんて、ひきわり納豆の粒より小さいよ」と食卓にある、納豆を指差しながら言われて、それもそうだ、それなら引っ越そうと思い立った。
「引っ越したって、引っ越さなくたって、お姉ちゃんの人生、なにもかわらないよ」とも言われた。まあ、それもそうだわね。

けど、雁須磨子先生の「くうねるところにすむところ」(『あたたかい肩』収録)にはこうある。

「部屋ってもっとこう....おもしろい....もの ていうか
 そこに重きを置くか否かで この先の人生にもの凄い影響を与えかねない
 そおいう...ひとりひとり違ってて...
それぞれの内的宇宙の現れみたいな 」

雁先生のこういうセリフ、大好きなんですが、「内的宇宙」って、それはちょっと言い過ぎじゃあないですか、と思わないでもない。
けど、なんとなく、出合ってしまった、このセリフに。みたいな、ねえ。

とりあえず、引越したら、『S団地にて』というタイトルの散文を3人でリレー執筆してみようかな、だなんて、実現しないことを考えています。



posted by chochobocko at 21:09| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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